新居製藍所:藍染になくてはならないスクモづくりの現場 ①

新居製藍所

徳島県・上板町
空が限りなく広いこの町は、阿波和三盆糖や水引の産地としても知られています。

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※ 上板町にある田んぼと、田んぼの中にポツンと立つ神社

目的地の新居製藍所は、上板町の上條にあります。

全国的にも有名な徳島の藍染・・・今回の取材の目的は、藍染に使われる原料・スクモ(蒅)が、どのように作られているのかを探るところにあります。
※ 阿波藍については、「阿波藍」のページをご参照ください。

季節は6月下旬・・・
これから一層暑くなるという時期に、藍染の原料がまだ加工される前、藍が植物として成長している様子と、その藍を乾燥させるところまでを追いました。

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※ 新居製藍所前。

今回新居さんの製藍所を訪問した日は大変天候に恵まれた1日でした。空は青々。
JR「牛島」駅を降りて歩きましたが、道すがら周りを水田に囲まれて・・・
稲の青さが目に染みました。

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※ 製藍所裏の藍畑。

藍が植わっている畑は製藍所の裏と向かいに広がっています。
上の写真は裏手、下の写真は向かいの畑です。
陽がサンサンとそそぐ中、実に健康的な色合いです。

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※ 藍。

上の写真が藍(タデアイ)の葉です。
タデアイは一年性の植物で、東南アジアより中国を経て日本に伝わったといわれています。
茎は高さ50cm~70cm程度になります。

この葉に含まれる無色の成分「インジカン」は、葉が乾燥すると酵素と酸素の働きで「インジゴ」に変化し青くなります。この青くなった葉から「インジゴ」を取り出し藍色染料として使う他、乾燥させて解熱・殺菌の漢方薬としても用いられることもあります。

暑い時期、6月~9月末にかけて、
藍の葉の刈取りと選別がはじまります。

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※ 畑で刈り取られたばかりの藍の葉が積み上げられています。

摘み取られた藍の葉は、葉と茎に分けられます。
葉は藍の原料のスクモとして、
茎も染料として、剣道具や地下足袋の基材になります。

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※ 選別風景。葉は機械にかけられ、1cm程度に細かく刻まれます。

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※ この機械、「刻む」・「吹き出す」の1台2役です。

機械から噴出された葉と茎は、
巨大な扇風機で分けられていきます。

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※ 葉は軽いので奥に、茎は重いので手前に落ちます。

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※ 葉を掃き出していきます。

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※ 葉を集めている様子。

こうして集められた葉は、
乾燥用のハウスに持ち込んで乾燥させます。
天日で乾燥させることもあります。

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※ 葉を満遍なく広げていきます。

乾燥させた葉は俵に詰めて次の行程まで貯蔵します。

ただ、このハウス内では、100%は乾燥しないので、
このまま俵(「ずきん」という)に詰めてしまっては腐ってしまいます。

そのため、いったん別の乾燥室にいれて、
葉がパリパリになるまで、完全に乾燥させます。

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※ 俵に詰まった藍の葉。

9月末、すべての藍を刈り取って乾燥させるまで、
この作業がひたすら続きます。
次の行程が始まるのは10月に入ってから。

続く・・・