【素材めぐり】鮮烈で刺激的!新野の生姜(しょうが)を飲む(西地食品)

西地食品:生姜(しょうが)

徳島県・新野(あらたの)町。
徳島県阿南市の南西部に位置しており、人口は4100人ほど(平成17年)。町西部に広がる山間部に向かってなだらかな道が続く、静かでのどかな土地です。

この新野の中西部・谷口と呼ばれる地域。50~60年ほど前までは生姜の産地として知られていたそうですが、つい最近まで生姜の生産が途絶えていたとのこと。

今回の取材ではその途絶の理由と、新野町谷口で農業法人として活動する西地食品の商品開発の現場を見学してきました。

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※ のどかな風景が広がる谷口。写真奥には竹林が。

今回お邪魔したのは新野町谷口にある西地食品有限会社。すだち・ゆず・ゆこうなどの搾汁をはじめ、タケノコの水煮、生姜や生姜を加工した商品を生産・販売しています。
→ 西地食品

この西地食品、自分たちで販路を開拓しつつ地域の経済・雇用に貢献するというスタイルで農業生産を推し進めてきており、設備投資~使用するたい肥作りなど、積極的に取り組んでいます。

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※ 周辺の農家から集めてきたもみ殻。

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※ すだち・ゆず・ゆこうなどのしぼりかすともみ殻を混ぜてたい肥に。

冒頭でも触れたとおり、このあたりの地域では50~60年ほど前までは生姜(ショウガ)の産地として知られていたそうで、社長の吉永さんの子供の頃はそこかしこで生姜(ショウガ)が作られていたとのこと。ですが、当時この地域では腐敗病が起こり、生姜(ショウガ)が全滅してしまってからは生姜(ショウガ)が作られなくなったということです。

「当時使われていた化学肥料にも問題があったのではないか。」

そう考え、現在は自家製の堆肥を用いて農作物を育てています。

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※ 茶色っぽいのがたい肥。植わっているのは「ゆこう」です。

生姜(ショウガ)の植え付けは3月ごろから始まり、収穫は12月~1月にかけて。今回お邪魔した際には既にすべて収穫されており、残念ながら掘り起こし作業は見られませんでしたが、来年度の収穫に向け、現在は芽が出やすいよう温度管理された保管庫にて保管されています。

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※ 保管庫前。社長の吉永さんには風邪気味のところご案内いただきました。

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※ 保管庫に保管されていた生姜(ショウガ)。芽がでています。

生姜(ショウガ)の収穫は12月~1月ですが、もともとの原産国が熱帯の東南アジアであることから、寒すぎると芽が出ないそうです。

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※ 新野某所のほら穴。中はけっこう深い。

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※ ほら穴内は温度が一定で湿度も高く、生姜(ショウガ)の貯蔵に最適の環境です。

こうして芽吹かせた生姜(ショウガ)を3月~4月には植え付けし、また来年収穫します。

さて・・・

収穫した生姜(ショウガ)はそのまま出荷もできますが、西地食品さんでは生姜の加工を積極的に行っています。

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※ お寿司屋さんで使われる紅ショウガを漬け込んでいます。

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※ 生姜(ショウガ)の搾りかす。堆肥利用の他、別の用途を模索中。

この日の西地食品さんの調理場では商品開発が行われており、生姜(ショウガ)の香りが建物の外まで「ふぁ~」っと漂い、筆者は思わず調理場に引き込まれてしまいました。中に入ると、煮詰めた生姜の切り身を大きな釜で火を通し、水分をとばしている最中でした。炊き込みにおおよそ1時間、近所の方に助っ人をお願いしての作業。

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※ 炊き込み中。うっすらと汁気があるのが見える。

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※ 余分な汁気もとび、仕上がりが近い。

こうして炊きあがったものは、新しい商品へと昇華されていきます。新商品の開発、・・・たゆまぬ努力の積み上げです。

ちなみに・・・

上記の炊き込み作業中、生姜の煮汁を何度か取り除いていますが、その煮汁の味わいたるや!本当に鮮烈で刺激的な味です。すこ~し砂糖を混ぜて飲みましたが、外がかなり寒かったこともあって肚の底からポッカポカになりました。

炊き込みを手伝っていた近所の人から、「炭酸水があればよかったなぇ。合わせたらジンジャーエールになるけんなぁ。」といわれ・・・かなり興味をそそられましたが、コンビニまで距離もあったため断念。

残念・・・。だけど、楽しみが一つ増えました。