【行ってきました】南あわを駆け回る③(美波町:恵比寿浜→木岐→由岐)

南阿波/南あわ/牟岐/美波町/日和佐/木岐/由岐

第8回(南あわの旅2日目・日和佐編)があまりにも長くなったため、2日目を2回に分け「第9回」ということにしています。

美波町については、第8回のとおりで、第9回の始点となる恵比寿浜海岸までには多くの「海の名所」がある一方、恵比寿浜から木岐に抜ける山座峠の入口からは山の中に入っていくことになります。

なお、今回の【行ってきました】も前回・前々回同様、現在環境省が進める「SMART MOVE!チャレンジ25キャンペーン」の取り組みに賛同する意味もあり、今回も「見たことのない”徳島”を見るために、徳島を【徒歩+自転車】でゆっくりと見て回る」ということで、レンタサイクルを借りて南あわの魅力を見て回りました。


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南阿波/南あわ/美波町/日和佐/木岐/由岐/木岐に行く途中
※ 第8回でもご紹介したかめっ子自転車。【道の駅「日和佐」出身】です。

「ゆっくり走ろう」の言葉どおり、峠をゆっくり登って内外に範を示しました。

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※ 八坂神社の入口。

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※ 八坂神社を越えた所にあるJR牟岐線のトンネル。

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※ JR牟岐線の線路そばにある杉並木。サイクリングにはちょうどいいです。

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※ 山座峠の休憩所。峠を駆け抜けたかめっ子自転車もしばしの休憩。

峠を越えるとそこは木岐。

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※ 峠を越えて、少し下ったところにある木岐の入口。

木岐。kiki。すごくいい名前です。

木岐の入口前から坂を下っていくと、右手には山間の開かれた場所があって、そこには草原が広がっています。風が草原を吹き抜けるたびに風の通り道がその草々の上に現れます。

そこを過ぎると上の写真のような緑のトンネルがあって、先ほど右手に見えた草原に入っていく道とぶつかります。

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※ 右手に見えていた草原?の入り口。

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※ 図々しくも、草原の手前にある小道を歩いていきます。

左手は田んぼで、稲が植わっています。その奥に見えるコンクリートの堤防の向こう側は海です。高潮がきたり、水門が開いていたりすると海の水が入ってくるそうです。

右手には何もありません。ただ雑草が生えているだけです。

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※ 右手側。昔は一面の稲が植わった田んぼだったそうです。

ちょうど農作業をしている人がいて、この場所について話を聞いてみたところ、ずいぶん前に耕作放棄地になってしまって、その後誰も手を付けていないとのこと。

先ほどのコンクリートの堤防を見るに、ここは昔入江だったことが伺えます。山を開いたものの、海が荒れるたびに入江に水が入るので、農作物を守る目的からコンクリートで堤防を作った・・・ということにしておきます。(勝手に)

とはいうものの、写真のような風景を前に、もしこれが稲の植わった秋口であったらと考えると・・・。上の写真の風景、(中央部のこんもりとした丘を除いて)すべてが黄金色になるわけで、それはそれで素晴らしい眺めであったろうと思います。

風が草の上を通り抜ける様子をしばらく眺めた後、この場を離れてふたたび自転車へ。すると不思議なことが。

自転車に乗って走り出そうとすると、後方からタイコのようなものを叩く音が。空耳か、誰かが実際にタイコを叩いたのかもしれませんが、「トントン」と聞こえてくる。その音が鳴る方を見ると・・・

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※ 音が聞こえた方をふり向くと木の葉の祠(!?)が。

顔を向けると、「トントン」という音が以降聞こえなくなりました。気になったのでその方に歩いていくと、そこにはお地蔵さんが。

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※ 海のそばにあるお地蔵さん。普段しないだけに、落ち葉を払うだけでも気分が変わります。

見ると、しばらく人が来ていないように見えました。

先ほどの耕作放棄地もそうですが、各地域に根付いてきた土着の信仰や習慣が、ある時から「地域」に意識されなくなり、結果として地域の人たちが集まる場所や時間が減っていき、地域そのものから活力が失われていくようなケースを見かけることがあります。

それは「地域」の産業力が失われることにつながります。

時代の変換や過疎化・高齢化など、要因を挙げればキリがありませんが、日々の中で自分以外の「地域」を意識するのが難しい時代なのだと、筆者は感じずにいられませんでした。

ただ、嬉しいことに、最近は地域おこし協力隊の活動が木岐をはじめとした県内各地で目立っています。地域の情報発信はただひたすらに地道な作業であり、多大なエネルギーが必要ですが、若い感性・新しい切り口でそうした情報が発信されているのを見ていると、とても嬉しくなります。

そうこう考えながら、木岐駅に向けてペダルをこぎました。

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※ タイトル画像でも使っている木岐駅の遠景。のどか。

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※ 木岐駅近くを飛ぶトンビ。

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※ こういう時に望遠レンズが欲しくなります。

またしばらく自転車を走らせると、田井ノ浜~由岐町が見えてきます。

南阿波/南あわ/美波町/日和佐/木岐/由岐/田井ノ浜
※ 海水浴場として有名な田井ノ浜のビーチ。

由岐yukiに到着。

田井ノ浜方面から由岐の路地を入っていくと、路地の先には般若寺。般若寺では、目の前に由岐の屋根の風景が広がります。

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※ 新しそうな建物以外はおおむね高さが揃っていて、見た目にも気持ちが良い。

般若寺を下り、自転車で路地を駆け抜けるとあっという間に由岐駅に到着。

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※ 最近建て替えた由岐駅。駅の北側には特産品売り場を新設。

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※ 由岐駅の中にある伊勢えびの像。で~んと立っています。

由岐駅の入口はいってすぐ左手の壁には、近辺の水産会社や食堂、タクシー会社などのインフォメーションが貼り出されています。構内は随分ときれいになっており、2階に上がると資料館とフリースペースがあって、イベントなどできるようになっています。

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※ 由岐駅の中のフリースペース。ピアノもあります。

特産品の販売場「ぽっぽ物産館」内の写真については、筆者の気持ちが遠慮がちになっていたこともあって撮れていませんが、地元で獲れた伊勢えびやアワビなどを量り売りしている外、水産加工品、お菓子、サザエを使ったとくしまバーガー、手芸品等々が販売されていました。

筆者はここでサザエのとくしまバーガーと地元の方が作ったプリンを買い、駅構内にある椅子に座って頂戴いたしました。食欲が先行したことで、・・・残念ながら写真はありません。

とくしまバーガーにはサザエ・野菜・アラメのかき揚げ?がはさまっていました。サザエの身がゴロゴロしているような、そういったサザエ感はあまりなく食べやすいです。アラメの食感が嬉しいのですが、個人的にはもう少し短く切って、たくさん入れてほしい・・・。

プリンはトロトロで美味しかったです。

ぽっぽ物産館

なお、ぽっぽ物産館で販売されている伊勢えびやアワビなどは、物産館横で焼いて食べられる(基本は15時まで)ようになっており、この外、物産館の出口付近(駅の改札方面)右手には別部屋があり、コーヒー(セルフ)を飲むスペースがあります。

由岐に立ち寄られた際はぜひ行ってみてください。

由岐駅を離れ、今度は由岐港近くの八幡神社方面へ。八幡神社までは右手に港を見ながらの道。

八幡神社前までいくと・・・

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※ 由岐八幡入口前に立つ看板。

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※ カニ!!

国道25号線、木岐から田井ノ浜に抜ける間のトンネル前でも見かけた「カニ注意」の看板。どうやらカニが道路を横切るようです。

看板に何が書いてあるかというと・・・

アカテガニ横断に注意!
由岐町に数多く生息するアカテガニは、海に近い石垣や山林の斜面に掘った穴に住み、6月から9月の月夜になると産卵のため海や河口に移動します。
移動の際に道路を横断しなければならないため、車の犠牲になるアカテガニが後を絶ちません。
自然の恵みによって成り立つ由岐町では、年々減少しているアカテガニを豊かな自然のシンボルとして位置づけ、「カニに注意」他の看板を設置することなどして、自然環境保護に取り組んでいます。

とのこと。ドライバーの方はぜひご注意ください。

「カニに注意」の看板があるところから由岐駅に引きかえし、194号線を通って平成23年7月に開通した「日和佐道路」をかめっ子自転車らしからぬ速度で走りぬけてやろう!と意気込んで日和佐道路前まで来たところ、「自転車・歩行者の通行禁止」とのこと。

「元来た道をそのまま戻るのも楽しみにかけるなぁ。」と考え、山側の道(木岐駅北側~289号線~55号線)を通って日和佐に戻ることにしました。


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自転車で走り抜ける由岐~田井ノ浜~木岐の風景はゆるやかで、おだやかで、実に気分爽快です。歩きでも気持ちよさそうですが、音が出るバイクよりも、やはりここは自転車がおすすめです。

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※ 道ばたで気持ちよさそうに寝そべる犬。

犬の寝顔に心を癒されながら、しばらく進むと少しずつ坂の傾斜が厳しくなってきました。前を歩いている木岐の農家の方を追い越し、フーフー言いながらペダルをこいでいると、左手のほうになにやら黒い影・・・。

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※ 木岐の休耕田に居座る黒い影。

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※ なぜか/まさかのパンダ。様々な動物(!)が目につきます。

「パンダ」を過ぎて、どんどん傾斜角が厳しくなる坂道。

筆者の立ちこぎ姿に、周辺の農家の方々の注目が集まりました。行き交う人たちが見せる、カメのイラストと筆者を交互に見る目線の動き。

「日和佐から由岐経由で?すごいね~~~~」

と声をかけてくれる地元のひと。多くの方々のご声援に励まされ、案外時間もかからずに山の上の方までやってこれました。

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※ 山から眺めた木岐。中央部にある橋が日和佐道路です。

峠のピークを過ぎ、あとは下りだけ・・・

そう思って進むと、目の前に妙に整備された棚田が現れました。

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※ コンクリートで整備された棚田。

農場などを越え、風を切って進むかめっ子自転車。

いつしか国道55号線とも合流。この合流地点からはなだらかな下りの道が続き、道の駅「日和佐」まです~っと伸びています。

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※ 55号線沿いにある八坂神社の参道。夕暮れ時です。

道の駅「日和佐」に帰り着いたのは18時前。ちょうど18時8分に徳島行の機車が発車するということで、買い物をする時間も残り万々歳です。

自転車を返し、預けていた荷物を受け取り、産直館へ走りました。

南阿波/南あわ/美波町/日和佐/木岐/由岐/道の駅「日和佐」
※ 道の駅「日和佐」の産直館内。

道の駅で自転車を借りる前に産直館に寄った際は人でごった返していました。土曜・日曜ともなると、さすがに人の入りが違います。写真は遠慮がちな筆者が「今だ!」と思って撮りましたが、お土産探しに必死になっているとまた人で混みだしました。

道の駅「日和佐」

  • 住 所  徳島県海部郡美波町奥河内寺前493-6
  • 連絡先  0884-77-2121(物産館事務所)
  • 公式ホームページ  https://www.michi-no-eki.jp/stations/views/19623
  • 営業時間 9:00~18:00(土日は19:00まで)
  • 定休日  年中無休
  • 駐車場  大型7台 / 普通57台 / 身障者用3台
  • トイレ  男13器 / 女13器 / 多目的用2器
  • 備 考  公衆無線LAN(Freespot)利用可、レンタサイクルあり(500円/日)

施設—–

  • 物産館:観光情報の提供や特産品の販売など
  • 足湯館:疲れをいやせます。無料。
  • 産直館:地元のとれたて野菜、水産品、お菓子などを販売。

気が付けば、筆者は干物、青のり、サバの箱ずし、珍味かまぼこ、焼き菓子、そして道の駅「日和佐」のブログでおすすめとなっていたアイスクリームを買いこんでいました。パンパンになったカバンとカメラをぶら下げ、道の駅横にある鉄橋を駆け上がり、日和佐駅構内まで走りました。

文字通り、南あわを駆け回る2日間となったわけです。

おわり。