阿波町:酒の原料・阿波山田錦の収穫風景を楽しむ

阿波山田錦

徳島県北部、香川県との境目にある徳島県阿波市。
吉野川の北岸に位置し、人口はおよそ41,000人です。平成17年4月1日、板野郡の吉野町、土成町、阿波郡の市場町、阿波町の4町が合併し、現在の阿波市となりました。

このうち、今回訪問した阿波町の人口はおよそ14,000人(平成16年時点)。のどかな風景がみられるこの町では、酒造好適米(お酒造りに適した米)として知られる『阿波山田錦』が作られています。

阿波山田錦のある風景
※ 刈取り前の山田錦。取材当日はやや曇り気味でした。

毎年収穫日が決められて一気に刈り取られる阿波山田錦。今年は10月13日を収穫開始日としており、取材もその日に合わせて行いました。

台風の影響もあってか、そこかしこで稲が倒れている光景を目にしましたが、しっかり力強い山田錦の姿も見られました。

阿波山田錦のある風景
※ 自然の猛威で倒れてしまった山田錦。稲の倒れる向きが風の動きを線引く。

阿波山田錦
※ すっくと力強く立つ阿波山田錦。一般的な食用のお米よりも丈が高い。

阿波山田錦とは?

”山田錦”というと、お酒を飲まれる方にはおなじみの名前ですが・・・もともとは兵庫県で生まれた酒造好適米(酒造りに向いたお米)です。丈が高く、倒れやすい特徴があります。

阿波山田錦とは、徳島県阿波市阿波町で生産されている山田錦です。阿波町では平成元年より栽培がはじまり、タンパク質が多くなり過ぎないよう肥料を抑え、量より質を優先したこだわりの酒米作りが続けられています。平成21年9月11日にはその名称が地域団体商標として登録されました。

現在、阿波山田錦を生産している阿波町内の農家は全部で209戸。
平成23年度の作付面積は157haで、平成22年度(154ha)については、阿波市内の作付面積(2260ha)の6.8%を阿波山田錦が占めています。収穫量は一般的な食用米よりも1アールあたり1~2俵少なく、契約農家とともにしっかりとした品質管理の体制を整えています。

阿波山田錦
※ 稲穂の様子。

”阿讃山脈から広がる南面斜面の温暖な気候の立地条件を生かし、粘土質で
山沿いの水田(作付指定圃場)にて栽培に取り組んでいます。” (特許庁資料より)

JA阿波町の指導部の方にお話を伺うと、阿波山田錦の栽培には、肥沃な土壌よりもやせぎみの土地の方が適しているとのこと。土地が肥沃だと、お米に含まれるたんぱく質がうまく抜けず、その影響から酒に雑味がでるそうです。

阿波山田錦
※ 阿波町のそこかしこで見られる収穫の様子。コンバイン大活躍です。

阿波山田錦
※ 稲が刈り取られる瞬間。畑の外から内に向かって、渦状に刈り取っていきます。

収穫は1か月かからずにすべて終了します。収穫された米はいったん貯蔵され、その後色彩選別機にかけられます。乳白色のものが選ばれ、それぞれの蔵元へ出荷。出来上がったお酒は消費者の元へと届けられます。