【行ってきました】『つるぎの風』が育む自然の甘みを楽しむ。

一宇の干し柿

徳島県西部、つるぎ町一宇。
徳島市の中心部から車でおよそ1時間半、人口1700人ほど(平成10年)の山間にある小さな村です。剣山系を源とする川が村の中心を流れ、美しい景観が楽しめる『一宇渓』には、その川の流れが岩を侵食して作り上げた滝壷『土釜』があり、徳島県指定の天然記念物として多くの訪問者の目を楽しませています。

徳島県では、秋の終わりの風物詩として一宇の吊るし柿は有名ですが、今回の【行ってきました】ではその一宇の干し柿を見に(味わいに)行ってきました。

一宇の干し柿
※ 一宇を流れる貞光川。水の清らかさは一目瞭然!

今回の一宇訪問では、大変ありがたいことに地元の方にご案内いただくことになり、一宇赤松にある「つるぎの宿 岩戸」で待ち合わせ。上の写真は、その「つるぎの宿」の裏で撮った写真です。館内に入ると”デンッ!”と鹿の剥製が右手にあり、左手にはかごいっぱいの一宇ゆず。「ご自由にお取りください」の立て看板…
宿泊はもちろん、食事処や休憩スペースがあります。

目的の場所までは車を乗り換えて移動しました。

一宇の干し柿
※ 一宇の吊るし柿。

「つるぎの宿」から車でおよそ15分。緩やかな傾斜~急な傾斜まで、山道をグイグイとあがり、目的の吊るし柿の撮影場所へ。

訪問したのは12月14日ですが、すでにあらかたの柿は出荷されていました。また、今年は柿の生産量が伸びず、例年と比べて2、3割程度とのことでした。台風の影響や暖冬など、原因はいろいろとありそうです。

一宇の干し柿
※ 別のアングルから。「こっちこっち!!」と案内してくれた人のご推薦で。

一宇の干し柿
※ 吊るし棚には鳥よけの網が。鳥も、美味しい時期がわかっているようです。

一宇の干し柿
※ 出荷はまだ先のお話。もっと乾燥させてから出荷します。

上の写真でもわかるように、出来上がり前とはいえトロっと舌にまとわりつくような感触。表面はやや硬めですが、ちょっとした抵抗感のあとはスムーズなもの。嫌みのない天然の甘みが、その色やツヤからも感じられます。

ここからもっと乾燥が進み、甘みに円熟感がでてきたら・・・と考えると、食いしん坊でなくても「パブロフの犬」状態に。

一宇の干し柿
※ ご案内いただいたお二人。帰りにはお土産を持たせていただきました。

帰りがけ、神社の鳥居の前に「ぶどう柿がある!」ということで、車を止めてしばし鑑賞。ピークを過ぎたぶどう柿の味は、甘さの弱い、何とも言えない味でした。

一宇のぶどう柿
※ ぶどう柿の枝。観賞用によく使われます。

一宇にある神社の鳥居
※ 階段にはコケ。石組みの傾斜具合といい、なんとも風情があります。

最後に「せっかく来たんだから」と、国指定の天然記念物「赤羽根大師のエノキ」を見に連れて行っていただきました。

一宇中学校の横道から、ずいぶんと急な坂を上ったり下りたり・・・と、進むことおよそ10分。村のトイレなる小屋の裏側には、何とも立派なエノキ!幹回りは8.7メートルで全国一とのこと。

一宇にあるエノキ
※ 間近で見るとすごい迫力。なぜか手前には杉が一本・・・こちらもなかなかの大きさ。

2008年2月13日付の徳島新聞には、
 「日本の巨木二千本」と題されたテレビのドキュメンタリー番組を見た立道里見村長(当時)。「これなら一宇にもある」と、東京から「全国巨樹・巨木林の会」の関係者を招いて調査を始めた。
赤羽根大師のエノキが、日本一と認定されたのもこのとき。ただ、それまでこの木はムクノキと伝えられていた。エノキと分かり、住民の間では「今さら…」と困惑が広がったとのエピソードも・・・

とあり、なんとものんびりしたというか、ほほえましいエピソードもあります。

季節で様々な楽しみがある一宇。ぜひ足を運んでみてください!